ご案内
破綻証券投資の運用方法は、破綻状態にある企業の経営権を取得してリターンを追及する方法と、経営権の取得は狙わず、あくまで破綻証券を割安で購入することに集中する方法の二つに大別される。
経営権を取得する場合、破綻状態にある企業の株式を大量に保有するか、債務を株式に転換(デット・エクイティ・スワップ)して経営権を取得するのが通常である。
そして、自ら取締役に就任するか、債権者委員会に積極的に参加することで、リストラやリファイナンスでの影響力を強め、運用者主導で企業再建を試みる。
破綻証券投資の運用者には、企業に関する精密な調査能力のほか、経営、金融、法務などの専門知識が求められる。
また、破綻証券投資の場合(特に経営権取得を目指す場合)、対象企業の株式、債券を大量に保有する投資家から、円満な形で証券を譲ってもらう必要がある。
そのほかにも、市場で証券を入手する場合は、自らの注文で価格が高騰しないようなトレ−ディング技術も求められる。
破綻証券投資では、投資対象企業、投資対象企業の業種、投資対象証券の種類、といった点でリスクを分散することが重要となる。
通常、破綻証券投資では、レパレッジをほとんど利用しないので、分散投資によるリスクヘッジがファンド全体のリスクを決定する。
破綻証券投資において、市場リスクはさほど大きくない。
それは、破綻状態にある企業の証券価格は、企業の状況でほぼ決まるからである。
このため、破綻証券投資は市場リスクと相関性が低く、利点の一つとして考えられている。
ただ、市場リスクが少ないとはいえ、破綻証券投資でリターンを得るには、多くの時間を要する。
対象企業の経営権を取得し、破綻状態から抜け出させるのに、多くの時聞が必要なのは当然であり、経営権を取得せず、割安で購入した証券価格の上昇を待つ場合であっても、他戦略に比べ多くの時間を必要とするのが一般的である。
たとえ破綻状態にある企業のリストラが着実に進展していても、市場がその過程を認識せず、証券価格がいつまでもフェアバリューに近づかないことがあるためである。
運用者が予想したように、破綻状態にある企業がリストラ策を進めるかどうか、もしくはリストラの成果が現れているかどうかを確認することも非常に重要である。
仮に、破綻状態にある企業が積極的にリストラ策を推進しない場合、または、リストラの成果が予想ほど大きくない場合、運用者は投資方法を再検討し、場合によっては投資そのものを中止することもある。
破綻証券投資では、基本的に株式、債券といった証券のロング・ポジションを構築するだけで、ショート・セリングを実施することはまずない。
よって、ショート・セリングによるへッジを試みたい場合には、対象となる証券を見つけ出す必要がある。
破綻証券投資が投資対象とする証券は、流動性が低いことが多い。
このため、破綻証券投資のファンドの多くは、ロックアップ期間や定期償還以外の解約時期を特定の時期に設定するなど、投資家の解約に一定の条件を課している。
こうした設定により、ファンドは、突然かつ強制的に証券を売却する必要に迫られる事態を回避している。
最も注意すべき点は、破綻証券投資で対象となる株式、債券の流動性が低いという点だ。
破綻状態にある企業のリストラは、いつまで続くか予測することは難しく、リストラの効果がどの程度のものになるかを見通すことも難しい。
このため、リストラ策を実施している問、市場ではいくつもの思惑が発生し、株式を中心に価格が乱高下する。
そして、運用者が取締役や債権委員会のメンバーになると、インサイダー規制によって自由に証券を処分することが不可能となる。
破綻証券投資で魅力的なリターンを創出したとしても、そのリターンが評価上のものであって、現実にキャッシュにできないのであれば、破綻証券投資の存在意義は小さいものとなってしまう。
破綻証券を購入する場合もあり得る。
ただ、この場合、破綻証券が文字どおり紙くずになるリスクがあるほか、仮に破綻状態にある企業が存続したとしても、市場が対象金業をいつまでも破綻状態のままであると認識し、購入した証券の価格は、割安のまま放置されるリスクがある。
したがって、証券価格の割安感から投資を実施する場合には、価格が上昇すると思われる理由を明確にするとともに、価格が上昇するタイミングを見定める必要がある。
株式ロング・ショート戦略とは、値上がりが期待できる銘柄でロング・ポジションを構築する一方で、値下がりが予想される銘柄にはショート・セリングを仕掛け、絶対的リターンをターゲットとする戦略である。
株式という資産に「ロング」と「ショート」の二つのポジションをとることから、「株式ロング・ショート」という名前が使われている。
株式ロング・ショートのポ−トフォリオは、投資対象とする株式市場の環境によって、ロング・ポジションがショートを上回る(ネット・ロング)こともあれば、ショート・ポジションがロングを上回る(ネット・ショート)こともある。
これにより、たとえ株式市場が下落傾向で推移したとしても、株式ロング・ショートは一貫してリターンを上げることが可能となっている。
現在のヘッジファンドでは、戦略がかなり多様化しているものの、株式によるヘッジ運用は最も頻繁に用いられる運用方法であり、運用者の数も多い。
中でも株式ロング・ショート戦略は、ショート・ポジションを持つことで相場下落局面でのマイナスのパフォーマンスを極力回避できるため、絶対的リターンを追及する戦略として人気が高い。
株式ロング・ショートは、運用者の銘柄選択の能力を完全に利用する戦略といい換えることもできる。
運用者の調査結果が的確で、株価上昇を見込んだ銘柄が上昇することでリターンを得るだけでなく、ロング候補からはずれた銘柄でショート・セリングをすることでも、リターンを享受できる。
もちろん、これは運用者が的確に銘柄選択をすることが可能という前提があってのことである。
株式ロング・ショート戦略を採用するヘッジファンドは多い。
卯年代はじめは、大手金融機関の運用者が独立し、金融ベンチャーとしてヘッジファンドをはじめるケ−スが多かった。
しかし近年では、大手金融機関でも株式ロング・ショート運用を提供しはじめており、資産残高の拡大ペ−スが加速している。
通常の株式投資では、購入した株式が値上がりしたところで売却し、利益を獲得しようとするが、株式ロング・ショート戦略では、株価の値上がりだけでなく、ショートした銘柄が値下がりしたところで買い戻すことで、株価の値下がりからも利益を得る機会が生まれる。
株式市場では、個々の株価が市場の動きとは無関係に動くことも多い。
よって株式ロング・ショートでは、値上がりが期待できる銘柄と値下がりが期待できる銘柄を吟味することで、ロング・ポジション、ショート・ポジションの両方でリターンを得ることが可能となる。
株式ロング・ショートの運用者は、個別企業の財務諸表から企業の収益性を綿密に調査するほか、証券ブローカーからのレポート、他投資家とのディスカッション、業界の専門家からのアドバイスなどから投資機会を探り出す。
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